【小説】(第1話)コロナ禍地獄!夫婦喧嘩を犬に食わせる
今週末は姪の結婚式があります。
最後に結婚式に出席したのはやはり姪で姉の長女の結婚式でした。
私にとって初めての姪沢山の幸せをもらったあの日からもう15年です。
思えば時計の針がどれだけ回ったのかと驚きもありますが、全然異常事態じゃなく時流に乗って普通に生活していたら結婚という選択肢はどんどん後ろにシフト行くのが20代、30代の男女にとって当たり前の時代でした。
「石を投げれば独身者に当たる」とかそんな感じで結婚する人は年々少なくなっていて、結婚式をする人には竹下通りとか銀座とか渋谷スクランブル交差点で連続で投げまくっても既婚者には全く当たらない。それだけに、当たっても無駄なトラブルを避けてそのまま怒るでもなく通り過ぎていくような人達ばかりのような気がします。かと言って石を投げる勇気はありませんけど。。
40歳になる姪も適当につきあっている相手はいつもいたようですが、特定の一人とはなかなかならず、結婚はしないと決めていたといいます。
ここまで姪の結婚が遅くなったのは、両親のせいと思うのは本人だけじゃなく私もです。
両親とは私の弟夫婦で彼女に結婚式をするように猛プッシュしてきた人たちでもあります。
彼ら自身も姪が相手がいるのに結婚に踏み切れなかった理由が自分たちにあることは分かっています。
弟夫婦は今では11月22日の“良い夫婦”の表彰に誰もが納得するカップルですが、今から20年前くらいちょうど、全世界がコロナパンデミックでかき乱されていた時にはメタクソの泥沼状態でした。
この頃は“コロナ離婚”なんて言葉も生まれたました。外へ行けない不自由さ、強制的に夫婦で長時間一緒に過ごす逃げられない日常、さらに金欠、弟夫婦もこの3拍子全てが出揃ってしまったのです。
ずっと専業主婦だった義理の妹に「働け!働け」と連呼、完全にダークサイドに行ってしまった弟。ところがこの時初めてコロナ以前からずっと家庭内暴力をふるってきたという闇が明るみになったのです。
義妹は完全に精神を病んでしまいました。いわゆるコロナ鬱だと思われました。
弟が腹を蹴る、義妹が包丁を投げる、そんな地獄のワンシーンを子ども達が傍観させられたのは一度きりじゃなかったといいます。
そしてついに離婚しかないと思わざるをえない事件が起きました。
義妹が別居が決まり実家に帰ることになった日の早朝、寝ていた甥の首をスマホのコードで絞めて心中を試みたのです。たまたまジョギングから帰ってきた弟が発見し甥は九死に一生を得ることになりましたが、4人家族の幸せな暮らしは完全に危ういものになったのでした。
母は悩んでいました。
私は母から愚痴の延長線上で一部始終を知ることになりました。
私にとっても全てが息苦しくなる内容でした。
「専業主婦に働け働けはきついよね!」とか無責任な一言を放つくらいで、実は何もなすすべがない自分にがっかりしたものです。
「でも何か出来ることはないかな?」という気持ちの源泉は微かにありました。
夫婦喧嘩の泥沼化はうちも同じでした。
弟と旦那が同じ年なので男性も女性も50前更年期障害の入り口でした。コロナのストレスに加えてこれから増える子どもの学費の不安はまさにうちも同じでした。お互いに自分の抱えた重荷を投げ合いたい気持ちは理解できました。
「夫婦喧嘩は犬も食わない」
夫婦喧嘩は家庭内の事情で第3者が入り込めるものじゃない。。
昔の人は言ってたわけですけど、よく預かる旦那の弟のうちの老犬ジョリーはウェットなドッグフードしか食べないから犬は何でも食べるという前提はちょっと納得できませんが、犬でも夫婦喧嘩だけは食べないってことですよね。
「夫婦喧嘩は犬も食わない」「夫婦喧嘩は犬も食わない」
この言葉が頭の中をグルグル回り始めひらめきが降臨しました。
「これなら行けるかも!」
To Be Continued.